
禿と新造
さくらんの主人公、きよ葉は幼い頃に遊女屋に買われ、禿としての生活が始まります。ここでは作中にもよく登場する「禿」と「新造」についての説明をします。
禿
禿とは七、八歳ぐらいから遊女屋に奉公する少女のことです。
禿は姉女郎(花魁)のそばにいて、ただ従順に身の回りの世話、食事の給仕、たばこの吸い付け、お茶の持ち運び、廓内の走り使い、道中の供つとめをし、琴、三味線、茶の湯を習います。
遊女やその部屋の新造たちも、禿を一人前の遊女に育てるために懸命になります。しかし禿がみんな花魁になれるわけではなく、全てはその素質次第でした。
禿が客席にはべることもありますが、客に酌をすることはありません。
引込禿とは、十四、五歳になって姉女郎の手を離れ、楼主(遊女屋の主人)や内儀(その妻)の元で、新造になるために英才教育として諸芸を習っている禿のことです。
将来、上位の遊女が期待される禿だけがその資格を与えられます。
一旦客の前から引っ込んでいることから引込禿と呼ばれています。
他にも眉目秀麗の男の子である若衆禿などもいました。
新造
新造とは、禿が成長して十三、四歳になると呼ばれる名です。新艘、つまり新しい船という意味をもちます。
新造には、振袖新造、留袖新造、番頭新造の三つがあり、それぞれ振新、留新、番新と呼ばれました。
振袖新造は姉女郎を見習いする立場となり、まだ客をとることはありません。
順調にいけばその後独り立ちをして女郎へとなるわけですが、十八歳になっても独り立ちができず、姉女郎の世話になりながら客を取るようになるのが留袖新造です。
番頭新造はだいたい三十歳以上で、身請けされないまま年季の明けた遊女が、再び遊廓で働くためになることが多いようです。
番頭新造は経験豊富で廓内のことにも通じており、花魁の身辺の用をつとめたり、茶屋へ出かけて初会の客の品定めや、花魁に誘客をたぶらかす策まで授けたりします。そして自分は遊女の引き立て役へと回るのです。

